討議資料・見解・私学おおさか

2011/8/24
「大阪維新の会」の「教育基本条例案」「職員基本条例案」の議会提出に反対します
                    
橋下知事が代表の「大阪維新の会」は「教育基本条例案」「職員基本条例案」の概要を発表、同条例案を大阪府9月議会に、大阪市・堺市の11月議会に提出するとしています。
 教育基本条例案は、「これまで教育から政治は徹底して排除するべきとされ」「教育行政そのものからすら、政治が過度に遠ざけられてきました」として、「大阪の教育行政のあり方に民意を反映し、大阪の子どもが適切な教育を受けることが出来るよう」この条例案を議会に提出するとしています。そして条例案は、(1)校長・副校長の公募(2)校長に教員の新規採用など人事権を与える(3)校長の教員評価制度は職員基本条例と同等とし、待遇への反映、分限処分・懲戒処分等を明文化(4)学区の撤廃と高校の公私間競争の促進、定員割れが続く府立高校の統廃合、などを掲げています。
 また、職員基本条例案は、「これまでは、地方行政がその任務を果たしてこなかったと言うべき」で、「条例を定めることが地方公務員法の趣旨」とし、その内容は、(1)地方自治体幹部は期限付き職員として公募(2)評価制度の徹底で職員の給与(ボーナス)面で違いを明確化(3)「がんばらない」職員の免職、「非行職員」に対する懲戒処分、分限処分の明文化(4)給与・勤務条件を民間企業水準に(5)定数改廃や予算の減少に伴う過剰職員の分限免職などです。

教育基本条例案は、政治権力が教育に介入し、地方行政の首長や校長が強大な権限を持ち、教育評価制度の徹底など、競争主義と管理主義を教育と学校、教職員と生徒・保護者に徹底するねらいが明らかです。これは、教育への政治の介入・支配を排し、教育は不当な支配に服さず、国民全体に対し直接責任を負い、教育行政は教育条件の整備・確立に務めるという、日本国憲法・教育基本法にもとづく戦後の教育を全面否定するものです。そして、教育の独立や政治的中立性を保持することを基本とした戦後の教育体系や制度を根底から覆し、教育を政治に従属させるものです。このような条例が実行されると、教員への管理強化がいっそうすすみ、市場原理と競争原理で教育と学校、教職員ががんじがらめにされ、教育と学校から人間的な共同、教育の暖かみや温もり、子ども一人ひとりの個性の尊重などは非効率なものとして捨て去られます。
 職員基本条例は、住民全体に奉仕すべき公務員である地方自治体労働者を差別・選別、分断し、さらには、解雇の制度でもって政治権力が自らに奉仕する職員として支配しようとするものです。
 両条例案は、時の政治権力と市場原理・競争原理という資本の論理の支配・介入、「インセンティヴ」(=報酬、報奨を期待させて勤労意欲を高める刺激)の徹底で、教育と学校、地方自治を歪め、壊すものです。大阪の児童、生徒、教職員、保護者、労働者、そして大阪府民にとって「百害あって一利なし」です。私立の教育と学校、教職員にとっても、その悪影響
明々白々です。
 大阪私学教職員組合は、橋下知事と大阪維新の会に対し、両条例案を議会に提出しないことを強く求めます。                                                                                                                                                      





2011年8月23日                 
 
大阪私学教職員組合

幼小中高校専門学校部

                                





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