討議資料・見解・私学おおさか

2011/6/8
「大阪維新の会」による「『日の丸』常時掲揚、『君が代』斉唱起立条例」、「府議会議員定数削減」条例の強行可決を糾弾する
                      


  2011年6月7日
                                 大阪私学教職員組組合

   幼小中高校専門学校部執行委員会

               
6月3日、「大阪維新の会」(橋下府知事代表)及び「みんなの党」は、「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」案をわずか数時間の審議で府民的な論議もまったく行われないもと、府議会本会議において強行可決した。
 また、府議会議員選挙で事実上の小選挙区である「1人区」「2人区」が約9割となる「議員定数削減条例」を特別委員会でも本会議でも、説明も審議もなく「大阪維新の会」と「みんなの党」が強行採決・可決した。議会制民主主義を踏みにじるばかりか、大阪府政史上恥ずべき汚点となる暴挙である。
 大私教は、これらの暴挙を糾弾するとともに、教育現場での「日の丸・君が代」の押しつけに反対し、「『君が代』斉唱起立強制」条例の廃止と9月議会で橋下知事と「維新の会」が制定を目論む「懲戒処分」条例阻止のたたかいに奮闘する。そして、憲法と教育の条理に立脚し、すべての教職員や保護者、府民との共同をさらに広げ、子ども・生徒一人ひとりを大切にする教育をすすめるため、奮闘することをあらためて表明する。
 私たちは、かねてから「日の丸」「君が代」をどう考えるかは、個人の内心の自由の問題であり、この条例は憲法19条の「思想・良心の自由」を侵害する憲法違反であること指摘してきた。この条例が学校における教職員の基本的人権、学問の自由や多様なものの考え方、自由な言論や討論の尊重など、民主主義の根幹を破壊すること、そして、教職員に対する管理・統制を強化し
学校と教育を時の政治権力に従わせようとする条例のねらいは、教育の中立を侵す教育統制である。条例に従わない教職員を懲戒免職にまでできる条例制定を知事が表明していることから、条例のねらいがますます明らかになっている。
 府議会議員定数削減条例については、その実態は議員数の削減のみならず、小選挙区の拡大(「1人区」が約6割、「2人区」を入れると約9割)である。本年4月の府議会議員選挙結果にもとづけば、「大阪維新の会」の得票率40.78%で52.29%の議席占有率が、条例では61.36%に増加する一方、自民、民主、公明、共産、みんな、社民など各党・各会派は議席数も議席占有率も大幅に減少し、死票が投票総数の約4割に達するとされている(「自由法曹団大阪支部」の試算)。
 このような、府民の民意と少数の政党や会派を切り捨て、4割の得票率で6割の議席を得る議員削減条例は、議会制民主主義の破壊につながり、容認できない。このような、民意を切り捨てる条例案を府議会で審議を抜きに強行採決・可決したことは、議会と民主主義のルールを踏みにじった暴挙、ファッショである。
 かつて、ドイツのヒトラーがドイツ国民の閉塞感を巧みに利用してナチス党への支持を拡大し、政権を握るや民主的なワイマール憲法を廃し、独裁国家を作り上げた歴史を思い起こさずにはいられない。
 選挙で多数を得れば、多数決であれば「選挙公約」でなくとも、「議会の審議」なしでも何でも決められるという、民主主義を蹂躙した「大阪維新の会」と橋下知事の所行は、数の力、多数こそ「真理」という独善と独裁以外の何ものでもない。多数決は議論を尽くすことと少数意見の尊重が前提である。多数は必ずしも真理ではなく、真理は最初、少数の側にあることを人類社会の歴史が示していることを知事も「維新の会」も学ぶべきである。
 大私教は、憲法と教育、民主主義を守る運動の一翼を担い、奮闘することをあらためて表明する。

                                          以 上






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