討議資料・見解・私学おおさか

2011/1/26
橋下知事による経常費助成削減と配分基準改悪の撤回を求める意見書を箕面市議会が採択
意見書採択に取り組んで
画期的な「意見書」採択
箕面市にある三つの学校法人―聖母被昇天学院、関西学院国際千里中・高等部、箕面学園―の理事会が箕面市議会に対して要請した、橋下知事による経常費助成削減と配分基準改悪の撤回を求める意見書が、昨年12月20日の定例議会において採択されました。
 この意見書には3校協同の主張の多くが取り入れられていますが、その意義は、

(1)経常費助成制度が私学の独自性と多様性を保障するものであ
り、そこには「小さな学校」であろうとすることも含まれていることを示している点。
(2)「私学の自由」の保障と私学助成制度との関連を示している点。
(3)「学校選択の自由」が「私立学校を選択する自由」であることを示している点。
(4)また、私学選択の自由は公立に受け皿がある義務教育段階においてこそ保障されるべきであることを述べ、義務制私学の無償化への理論的道すじが示されている点。
(5)経常費助成制度が「競争」を規制し、私学の公共性と健全な発展を支えているという認識に立って、「単価一律化」や「目に見える成果への上積み」がいかにそれを阻害するものであるかを示している点。
(6)個別具体の問題、地域性が止揚されて、普遍の課題を示している点。
(7)私学とは何か、という本質的な問題が示されている点。
など、私たちが拠りどころとすべき理論的支柱が示された点にあります。
 
おそらく、ここまで踏み込んだ意見書は他に例がないでしょう。しかも、全会派が一致して橋下府政の私学助成政策の見直しを求めているのですから、画期的な意見書だと思います。

 2008年の橋下知事による最初の私学助成削減に対する意見書は反対会派があって市議会への提案には至りませんでしたが、聖母被昇天学院と箕面学園の2校で協同して「要望書」を提出することを検討。理事会に働きかけて、両校の理事長名あで提出することが出来ました。この経験が今回の取り組みに活かされたと言えます。また、地域性が強い取り組みは議員や市職員が私学関係者(保護者、卒業生など)であることも多く、そういうつながりがうまく働くことで、議会運営の日程や請願、陳情、意見書の扱いなども確認し易く、時機を逸することもありません。なにより地域にある学校ならではの取り組みが可能になるはずです。



取り組みの可能性、民主主義の感覚を
さて、採択された意見書が府議会においてその求めるところを実現したかどうか。評価はそれを待つべきですが、この取り組みが切り開いたもの、可能性について次のことを指摘できるでしょう。

(1)それぞれありようを異にする3校が問題の共通認識、共通問題の確認をふまえて意見書案を作成することで、私学や私学助成の本質や普遍的な価値を確信したこと。
(2)互いをリスペクトしあう関係、競争原理を排した高い次元での「私学はひとつ」というつながりとそのための運動を創造しうる契機を示したこと。
(3)他市町村でも意見書採択の可能性がある情勢であることを示したこと。

 「私学はひとつ」と言える労働組合のねうちをどう示すか。未加盟校が、また加盟分会が大私教の運動や組織力に寄せる期待とそれに応えるべき責任をどう果たすか。その協同の取り組みを意見書採択で踏み出すというのは、きわめて現実的かつ有効な取り組みとなる可能性があります。そして何よりも、これは目下、橋下知事の攻撃にさらされている議会制民主主義の根幹の制度に関わる実践にもなるのです。

 私たちは私たちの意思表示の手段としての「請願(または陳情)」とその保障義務としての議会が有する「意見書提出権(意見表明権)」をあたりまえのものと考え、もっと身近なものにするべきでしょう。その経験を地域で積み重ねながら、民主主義の力を付けていく。大きな反動に対して、いつでも声をあげる、その感覚を大切にしたほうがよい。だから、結果はどうであれ、まずやってみる。そしてくりかえしやってみる。民主主義は長い。実に、それは橋下よりも長いものなのだから、私たちはそちらに付き合うべきだろうと思うのです。






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