討議資料・見解・私学おおさか
|
2012/2/23
| 「学校選択と競争」の完全自由化は教育のあり方を歪めます 〜橋下・大阪維新の会の教育施策、教育基本条例で私学を利用し、悪用することは許せません〜
| | 公私立高校の残り競争を激化させる教育基本条例案
| | 橋下・大阪維新の会の「教育基本条例案」は、3年連続募集定員を割った府立高校を統廃合するとしています。そのため、昨年末、定員割れを回避しようとする府立高校が2012年度入試での募集定員数を減らす意向を表明しました。その結果、府教委は大阪の私立高校に「募集定員増」を要請、大阪の私立高校側は府教委要請を受け、私立各校は従前の募集定員数を一定数増員することになりました。私立高校の学費無償化制度が拡充されたからとはいえ、府立高校が学校存続のために募集定員を減らし、私学がその受け皿になるというのは異常な事態です。 このような事態の背景には、橋下府政時代の大阪府下中学卒業生の高校収容公私比率「7:3」の撤廃があります。すなわち、公立高校、私立高校の生徒収容数(換言すれば、生徒獲得数)はフリーハンドとなりました。そして、大阪府私立高校学費無償化制度の実施で、大阪の公立・私立高校間の民間企業と同様の市場主義的な生徒獲得競争のシステムがつくられました。その結果、2011年度私立高校入試では、募集定員を大幅に超える高校と定員割れが続く高校に二分化する、府立高校入試では、40校を超える高校で定員割れが起こるという、他府県にはない異常な事態が生まれました。
私学助成制度を学校生き残り競争のシステムに 私学の学費無償化制度については、保護者の学費負担を抜本的に軽減した側面では評価できます。しかしこの制度は、経常費助成削減の継続とパーヘッド方式による配分基準の改悪、公私収容比率の撤廃という「私学生き残り」競争のシステムの一環として実施されています。そして、「教育基本条例」による府立高校の学区撤廃と統廃合です。 橋下・大阪維新の会の高校政策全体を総合的に見れば、そこには、様々な困難を背負っている生徒に向き合い、生徒たちの成長と発達に骨身を削って奮闘している教員や学校の現実は視野にありません。あるのは、「選択の自由と競争・自己責任」を原則とする新自由主義の政策によって大阪の高校全体を縮小することです。 橋下・大阪維新の会は、教育予算の削減と効率的配分をすすめるため、私学政策(私学助成政策)のバウチャー路線化へ大きく舵を切っています。そして、大阪の高校を進学などの実績や多様化の競争で公私合わせて淘汰しようとしています。橋下・大阪維新の会は、新自由主義の教育政策を推し進めるために私学を利用していると言って過言ではありません。 自らの主張を正当化するために私学を悪用 また、橋下市長は、大阪市の小中学校の「学校選択制」導入について、「地域に根ざす学校の大切さ」を主張する市教委等の批判に対し、市教委や市職員の建前と本音を明らかにするとして、大阪市職員の子どもがどれだけ私立の小中学校に通っているかの調査を命じる、との報道がありました。自らの主張を押し通すためには、職員個人のプライバシーに立ち入る調査を命ずる橋下市長の人権感覚の欠落のみならず、自分の主張を合理化するために私立の小中学校を引き合いにだすなどは、自らの教育施策のために「私学を利用」「私学を悪用する」行為であり、私立小中学校に対する市長の浅薄な認識と偏見によるものだと言えます。 私たちは、あらためて「教育基本条例案」「職員基本条例案」に反対するとともに、教育の条理を踏みにじり、教育を歪める「高校生き残り競争」ではなく、希望する生徒の高校就学と一人ひとりの生徒の成長・発達を保障するゆきとどいた教育条件の確立、拡充こそ、行政の責務であることを大阪府政、市政に求めてゆく所存です。
|
|
|
|
Copyright 2009 大阪私学教職員組合(大私教)