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2009/2/16
| 無償化関連資料 | | 2005/05/24 《無償化関連資料》 日本政府は、国際人権規約「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約。A規約)を1979年に批准しましたが、そのうち、中等・高等教育の漸進的無償化を定めた第13条2項(b)(c)をはじめ、4つの条項について留保し続けています。 高等教育無償化条項を留保している国は、締約国151カ国(2005年1月25日現在)のうち、日本、マダカスカル、ルワンダの3カ国のみです。 社会権規約の締約国は、この規約に謳われた権利の実現のためにとった措置などについて、国連に定期報告を行うことが義務づけられていますが、2001年に日本政府が提出した第2回報告に対して、国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会」(社会権規約委員会)は調査・審査を行ったのち、「最終見解」を発表し、留保の撤回を検討することを強く求める厳しい勧告を行いました。またその中で、2006年6月30日までに第3回報告を提出し、そこでこの勧告を実施するためにとった措置について詳細に報告することを要請されています。 以下に、次のものを入れています。 イ)「世界人権宣言」 ハ)「市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書」 ニ)批准の際の日本の書簡 ホ)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約)第7条 ヘ)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約)第8条 ト)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約)第13条 チ)経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会からの質問事項に対する日本政府回答 リ)社会権規約委員会の「最終見解」(2001年8月30日採択、外務省仮訳) ヌ)子どもの権利条約(1989年)第28条 ル)憲法(1947年3)第14条第26条 ヲ)教育基本法(1947年)第1条第3条第6条第10条 ワ)私立学校法(1949年) カ)私立学校振興助成法(1975年) ヨ)学習権宣言(1985.3.パリ) イ)「世界人権宣言」 1948年12月10日国連総会において採択。 法的な拘束力はないが人権及び自由を尊重し確保するために、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準を定めたもの。 1950年、国連総会において、毎年12月10日を「人権デー」(Human Rights Day)として、世界中で記念行事を行うことが決議されました。 ロ)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約) ロ)「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(B規約) 共に、1966年12月16日採択、A規約は、1976年1月3日発行、B規約1976年3月23日発効 法的な拘束力をもつ。 日本は、1979年6月21日一部を除いて批准 ハ)「市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書」 B規約の実施に関連して、同規約に掲げる権利の侵害について締約国の個人が行った通報をこの規約によって設けられた人権委員会が審議する制度について規定したものも採択された(現在は、「第二選択議定書」)。 ニ)批准の際の日本の書簡 日本は、この規約の批准書の寄託に当たり、署名の際に行つた宣言を確認する旨の通告を国際連合事務総長あて書簡により行った。 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本国政府に代わり、日本国政府は経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約及び市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准するに当たり署名の際に行つた次の宣言を確認することを通告する光栄を有します。 1 日本国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第七条(d)の規定の適用に当たり、 この規定にいう「公の休日についての報酬」に拘束されない権利を留保する。 2 日本国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第八条1(d)の規定に拘束されない 権利を留保する。ただし、日本国政府による同規約の批准の時に日本国の法令により前記の規定に いう権利が与えられている部門については、この限りでない。 3 日本国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第十三条2(b)及び(c)の規定の適 用に当たり、これらの規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保 する。 4 日本国政府は、結社の自由及び団結権の保護に関する条約の批准に際し同条約第九条にいう「警 察」には日本国の消防が含まれると解する旨の立場をとつたことを想起し、経済的、社会的及び文化 的権利に関する国際規約第八条2及び市民的及び政治的権利に関する国際規約第二十二条2にい う「警察の構成員」には日本国の消防職員が含まれると解釈するものであることを宣言する。 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。 千九百七十九年六月二十一日 国際連合日本政府代表 特命全権大使 安倍勲(署名) ホ)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約)第7条 第七条 この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。 (a)すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬 (i)公正な資金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子につい ては、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件 が保障されること。 (ii)労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活 (b)安全かつ健康的な作業条件 (c)先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてよ り高い過当な地位に昇進する均等な機会 (d)休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬 ヘ)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約)第8条 第八条 1 この規約の締約国は、次の権利を確保することを約束する。 (a)すべての者がその経済的及び社会的利益を増進し及び保護するため、労働組合を結成し及び 当該労働組合の規則にのみ従うことを条件として自ら選択する労働組合に加入する権利。この権 利の行使については、法律で定める制限であつて国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者 の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することが できない。 (b)労働組合が国内の連合又は総連合を設立する権利及びこれらの連合又は総連合が国際的な労 働組合団体を結成し又はこれに加入する権利 (c)労働組合が、法律で定める制限であつて国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及 び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も受けることなく、自由 に活動する権利 (d)同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従つて行使されることを条件とする。 2 この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な 制限を課することを妨げるものではない。 3 この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する千九百四十八年の国際労働機 関の条約の締約国が、同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること又は同条約に 規定する保障を阻害するような方法により法律を適用することを許すものではない。 ト)「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」(国際人権規約A規約、社会権規約)第13条 第十三条 1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成 及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化 すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加す ること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること 並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。 2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。 (a)初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。 (b)種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、 特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会 が与えられるものとすること。 (c)高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、 すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。 (d)基礎教育は、初等教育を受けなかつた者又はその全課程を修了しなかつた者のため、できる限り 奨励され又は強化されること。 (e)すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教 育職員の物質的条件を不断に改善すること。 3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によつて設置される学校以外 の学校であつて国によつて定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児 童のために選択する自由並びに自己の信念に従つて児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自 由を有することを尊重することを約束する。 4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解し てはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる 教育が国によつて定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。 チ)経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会からの質問事項に対する日本政府回答 (外務省仮訳)(2001年) T.社会権規約が実施されている一般的枠組み 問2.社会権規約の第7条(d)、第13条2(b)及び第13条2(c)への留保を維持する必要性について説 明して下さい。これらの留保を撤回するために日本が計画しているタイムスケジュールを提供して下さ い。 答 2.第13条2(b)及び(c)への留保 (1) 我が国においては、義務教育終了後の後期中等教育及び高等教育に係る経費について、非進学 者との負担の公平の見地から、当該教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるという方針をと っている。 また、高等教育(大学)において私立学校の占める割合の大きいこともあり、高等教育の無償化の方 針を採ることは、困難である。 なお、後期中等教育及び高等教育に係る機会均等の実現については、経済的な理由により修学困 難な者に対する奨学金制度、授業料減免措置等の充実を通じて推進している。 (2) したがって、我が国は、社会権規約第13条2(b)及び(c)の規定の適用にあたり、これらの規定に いう「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保している。 リ)社会権規約委員会の「最終見解」(2001年8月30日採択、外務省仮訳) C.主な懸念される問題 10.委員会は、締約国の規約第7条(d)、第8条2項、第13条2項(b)及び(c)への留保に関し、委員会 が受け取った情報によれば、それらの権利の完全な実現はまだ保障されていないことが示されている 一方、締約国が前述の条項で保障された権利をかなりの程度実現しているという理由に基づいて、留 保を撤回する意図がないことに特に懸念を表明する。 (外務省注:第8 条について留保しているのは、第2 項ではなく第1 項(d)である。) E.提言及び勧告 34.委員会は、締約国に対し、規約第7条(d)、第8条2項、並びに第13条2項(b)及び(c)への留保の 撤回を検討することを要求する。 62.委員会は、締約国に対し、社会の全ての層に最終見解を広く配布し、それらの実施のためにとった すべての措置について委員会に報告することを勧告する。また、委員会は、締約国に対し、第3回報 告作成準備の早い段階において、NGO 及び他の市民社会の構成員と協議することを勧奨する。 63.最後に、委員会は、締約国に対し、第3回報告を2006年6月30日までに提出し、その報告の中 に、この最終見解に含まれている勧告を実施するためにとった手段についての、詳細な情報を含める ことを要請する。 (注1:訳文中の「締約国」は、日本を示す) (注2:段落冒頭の番号は、「最終見解」全文通しの段落番号。63が最終段落) ヌ)子どもの権利条約(1989年)第28条 第28条 (教育への権利) 1 締約国は、子どもの教育への権利を認め、かつ、漸進的におよび平等な機会に基づいてこの権利 を達成するために、とくに次のことをする。 a.初等教育を義務的なものとし、かつすべての者に対して無償とすること。 b.一般教育および職業教育を含む種々の形態の中等教育の発展を奨励し、すべての子どもが利用 可能でありかつアクセスできるようにし、ならびに、無償教育の導入および必要な場合には財政的 援助の提供などの適当な措置をとること。 c.高等教育を、すべての適当な方法により、能力に基づいてすべての者がアクセスできるものとする こと。 d.教育上および職業上の情報ならびに指導を、すべての子どもが利用可能でありかつアクセスでき るものとすること。 e.学校への定期的な出席および中途退学率の減少を奨励するための措置をとること。 2 締約国は、学校懲戒が子どもの人間の尊厳と一致する方法で、かつこの条約に従って行われること を確保するためにあらゆる適当な措置をとる。 3 締約国は、とくに、世界中の無知および非職字の根絶に貢献するために、かつ科学的および技術 的知識ならびに最新の教育方法へのアクセスを助長するために、教育に関する問題について国際協 力を促進しかつ奨励する。この点については、発展途上国のニーズに特別の考慮を払う ル)憲法(1947年3)第14条第26条 第14条(法の下の平等) すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 第26条(教育を受ける権利) 1.すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 2.すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負 う。義務教育は、これを無償とする。 ヲ)教育基本法(1947年)第1条第3条第6条第10条 第1条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行なわれなければならない。 第3条(教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。 第6条(学校教育) 1.法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方公共団体の外法律に定める法人の みが、これを設置することができる。 2.法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努 めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が期されなければな らない。 第10条(教育行政) 1.教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行なわれるべきものであ る。 2.教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行 なわれなければならない。 ワ)私立学校法(1949年) 第1条(目的) この法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって私立学校の健全な発展を図ることを目的とする。 第59条(助成) 国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、学校に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。 カ)私立学校振興助成法(1975年) 第1条(目的) この法律は学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が行なう私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もって私立学校の健全な発達に資することを目的とする。 第3条(学校法人の責務) 学校法人は、この法律の目的にかんがみ、自主的にその財政基盤の強化を図り、その設置する学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の適正化を図るとともに、当該学校の教育水準の向上に努めなければならない。 第4条(私立大学等の経常的経費についての補助) 国は、大学又は高等専門学校を設置する学校法人に対し,当該学校における教育又は研究に係る経常的経費について、その2分の1以内を補助することができる。 第9条(学校法人に対する都道府県の補助に対する国の補助) 都道府県がその区域内にある小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校又は幼稚園を設置する学校法人に対し、当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は、都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助することができる。 ヨ)学習権宣言(1985.3.パリ) (第4回ユネスコ国際成人教育宣言) 学習権の承認は、いまや、これまで以上に、人類にとって、重要な課題となっている。 学習権とは、 読み書きの権利であり、 質問し、熟慮する権利であり、 想像し、つくり出す権利であり、 自分自身の世界を読みとり、歴史を作る権利であり、 教育の機会に接する権利であり、 個人的・集団的技能をのばす権利である。 成人教育パリ会議は、この権利の重要性を再確認する。 学習権は、未来のある日のために予約された文化的ぜいたく品ではない。それは基礎的欲求がみたされたあとに与えられる、第二段階のものではない。 学習権は、人が生きのびるに不可欠な道具である。 世界のひとびとは、もし食糧生産と、その他の人間的欲求のみたされることをのぞむならば、学習権を持たねばならない。 女性と男性が、よりよい健康を享受するためには、彼らは、学習権を持たねばならない。 もしわれわれが戦争をさけようするなら、平和に生きることを学び、おたがいに理解しあわねばならない。「学習」はキーワードである。 学習権なしに、何人も成長することはできない。 学習権なしに、農業と工業の躍進も、地域保健も、そして実際、学習条件の変化もないであろう。 この権利なしには、都市や農村ではたらく人たちの生活水準の改善もないであろう。 すなわち、学習権は、現在の人類にとって深刻な問題を解決するのに、もっとも貢献できるもののひとつなのである。 しかし、学習権は、単なる経済発展の手段ではない。それは基本的権利のひとつとして、認められなければならない。学習活動はあらゆる教育活動の中心に位置付けられ、ひとびとをなすがままに動かされる客体から、自分の歴史を作り出す主体にかえていくものである。 それはひとつの基本的人権のであり、その合法性は万人に共通している。学習権は人類の一部のものに限定されてはならない。それは、男性や工業国や有産階級や学校教育を受けられる幸福な若者たちの排他的特権であってはならない。(後略)
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