争 議

2011/07/16
解雇権の乱用で解雇は無効
 近大泉州(前飛翔館)高校 不当解雇撤回・原職復帰裁判完全勝利判決 続報
傍聴席に喜びのどよめき
 7月15日、大阪高等裁判所は不当解雇事件の控訴審で、原判決(大阪地裁堺支部)の原告(山本・吉野・松岡・奥野・大島の各教諭5名)敗訴部分を取り消し、原告らが雇用契約上の地位にあることの確認と、原告らの平成20年5月から判決確定までの金員(未払い賃金)と年5分の金員の支払いを命じました。同時に、この金員支払いに関して仮に執行できるとしています。
 裁判長が主文「原告が被告との間で雇用契約上の地位にあることを確認する」と述べた途端、満員の傍聴席からは一斉に喜びのため息とどよめきが起こりました。



整理解雇の必要性はなかった
 高裁判決は、一審判決での私学財政に関する評価や判断の誤りを指摘しつつ、詳しく私立学校会計基準と私学財政、及び泉州学園の財政分析を行い、学園が主張した「整理解雇の必要性」を否認しています。




人の入れ替えは認められない
 また、「この解雇は整理解雇ではなく、人の入れ替え」という私たちが主張に関して判決は、「人件費の高い労働者を整理解雇するとともに他方では人件費の安いほぼ同数の労働者を新規に雇用し、これによって人件費を削減することは許されない」「なぜならば、(中略)このような人を入れ替える整理解雇を認めるときは、賃金引き下げに容易に応じない労働者の解雇を容認し、その結果として労働者に対して賃金引き下げを強制するなどその正当な権利を不当に侵害するおそれがあるからである」と明確に述べています。



解雇の手続きも誤りだらけ
 「整理解雇4要件」が規定する労働組合との話し合いに関しては、学園側にいくつかの言い分はあったとしても、「整理解雇を行う使用者は、組合ないし労働者との間で説明や交渉の機会を持つべきである」「関係当事者が十分意思疎通を図り誠実に話し合うというのが我が国社会の基本的なルールであり、公の秩序である」とし、「整理解雇に至る手続きに相当性を欠く瑕疵がある」としています。


「解雇権の乱用」
 このように高裁判決は、「整理解雇4要件」にてらして学園側の主張や対応は問題があり、整理解雇の手続きに「瑕疵」(法律上の欠陥、欠点)が存在するとして、この解雇は「整理解雇」ではなく、解雇権の乱用であるから無効と結論づけています。


さあ、職場に戻す闘いを
 判決後、「勝利」「勝利」と5枚の勝利の垂れ幕がかかげられた「報告集会」。弁護士会館の広い会場は喜びの支援者で埋め尽くされました。
 戸谷弁護士は「裁判長にみんなの思いが通じた。経営が厳しい私学の中にあってもこんなに乱暴な解雇では学校をつぶしてしまうではないか、こんな解雇は認められないという判決の意義は大きい。この闘いは5人が現場に戻るまで続くだろうがそれはみんなのバックアップが大事」と述べました。
 続く山崎弁護士は「反転攻勢、やっとこちらの土俵にのせた。これから学園を押し込んで、職場に戻す闘いを」。
 岸本弁護士、十川弁護士もそれぞれ勝利の喜びと、今後の闘いの支援を訴えました。
 弁護士になっての初事件が飛翔館争議という下迫田弁護士が「明日からの闘いにむけて団結して頑張ろう。今日一日は喜びに浸っていたい」と涙ぐむ場面も。



「私は近大泉州高校の教員でいたい」
 山本・吉野・松岡・奥野各原告がそれぞれ喜びと支援のお礼と決意を述べると、会場は大きな拍手に包まれました。
 吉野さんは「この3年間どないなるんかなと思いながらでも闘ってこれたのはみなさんの支援や、弁護士のおかげ。街宣はのべ1000回以上、2000人以上の参加で続けてこれた。高裁向け署名は18911寄せられた。学校に戻れるよう頑張る」と決意表明。
 松岡さんは「卒業生からやっぱり先生は泉州高校の先生やないとあかんでと言われた。定年60歳まであと4年しかないけどもう一回教育方針が間違ってないことを確認したい」と発言。山本さんが「松岡さん60歳定年言ったけどうちの定年は65歳、まだまだやれます」の訂正で会場は爆笑の一幕も。



気持ちよく働ける近大泉州をを取り戻そう
 近大泉州高校の現場で、毎日校長のパワハラに苦しめられている川崎分会長が挨拶。「川崎・櫻井不当処分撤回裁判も今から高裁。今まで顔も見たことのない名前も知らなかったひとたちが北海道から沖縄まで全国で一筆一筆署名をしてくれてそれが力になっていると痛感している。みなさん、これからも力を貸してください」と訴えました。
 その日の夜岸和田で開かれた「分会報告集会」には飛翔館分会員の殆どが参加。日々しんどい毎日を送っていたが本当にこの判決を待っていた。中は大変だが強力な応援団がある。団結して一日も早く気持ちよく働ける近大泉州高校を取り戻そうと、それぞれの思いを語りました。



学園は上告するな、5人を学園に戻せ!
 闘いはまだ続きます。いよいよ本当に最終盤です。いっそうの支援で、「学校は上告するな」「団交を開け」「5人を学園に戻せ」「最高裁は上告を受理するな」の声をますます大きくあげましよう。そして一日も早い5人の教壇復帰を、民主的な近大泉州高校の実現を!





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