公費助成運動

2012/05/30
真実を見抜く目を持とう アーサー・ビナード氏講演
4・29 ようこそ中・高校へ〜新入生・父母歓迎のつどい〜
新入生父母歓迎のつどい
 4月29日(祝)大阪女子高校で、大阪私学助成をすすめる会主催「ようこそ中・高校へ 新入生父母歓迎のつどい」が200名を超える参加者で開催されました。
 今年4月創部したばかりの大阪女子高校奏楽部の演奏で始まり、素晴らしい演奏に大きな拍手がわきました。続いて一之瀬すすめる会会長の開会の挨拶、細見大阪女子高校PTA会長より歓迎の挨拶がありました。次に西岡先生からすすめる会の意義について「大阪女子では母子共に教え子ということが時々あり、それが私学の良さの一つ。そして、熱心な保護者の方がおられて、そんな力を束ねる運動体として30年を超える長い歴史を持つ『私学助成をすすめる会』が学校の枠を越え活動を続けている」と発言がありました。



アーサー・ビナード氏講演 「この物語が忘れられるのをじっと待っている人たちがいる」
 記念講演は詩人アーサー・ビナードさん。「この物語が忘れられるのをじっと待っている人たちがいる」です。言葉の専門家としての目線から、原子力の歴史を中心に、社会の仕組みやものの見方について、午前の講演に続き午後の分散会でも熱く語りました。




核爆弾を作る「マンハッタン計画」
まず昨年の福島原発事故に触れ「ばらまかれた放射性物質は、どうにも付き合えない有害な物質」と指摘、原子力の歴史について、「1940年代、アメリカで核爆弾を作るための『マンハッタン計画』が本格化し、それまでの兵器とは次元の違う原爆作りが始まった。
大戦中に始まった計画は、憲法に違反する形で税金がつぎ込まれ、最初から法律順守・説明責任という発想はなかった。
戦後も核開発を続けるため『原爆は戦争を早く終わらせた』『ソ連は恐いぞ』と国民をだまし続け、1940年代終わりには水爆作りも始まった」と語りました。



「平和のための原子力」キャンペーン
「そのうちアメリカ国民は気付き始めた。『水爆を持つ国同士が戦争したら、世界は終わる。最悪の兵器ではないか?』と。そこでアメリカ政府は『平和のための原子力』キャンペーンを開始。国連総会では『今後は人類の幸福と平和のために使います。』と演説し、『これは発電機。電気代はタダになりますよ!』と売り込み、国民を騙したのです。
 原爆を『発電機』にするには『ジリジリ爆発』させ、その熱で蒸気が出れば発電も可能となる。でも、それはこれまでに作った巨大な利権構図を守り、世界支配のための飛び道具を維持するためのものだった。原爆作りの装置も冷却装置や格納器で囲えば発電機、という作戦。
 アメリカの指示で日本でも同じPRが始まり、国民に見えない所で原子力開発の予算が組まれた。『ウラン235』から発想した2億3500万円。これが日本の原子力政策の出発点」。



「CO2」言葉のカラクリ
「2009年の日本原電の広告に『地球温暖化・異常気象の主な原因CO2。発電時にCO2を出さない原発は温暖化防止に有効』という広告がある。『発電時に』が抜けるとウソになる。『発電時』はピカドンの『ピカッ』の瞬間。その時CO2が出ないだけで、建設時やその後の処理時には大量にCO2出す。停止後は長期冷却が必要。稼働中は儲かるけれど、止めたら死の灰という10万年かかる超長期不良債権が残る」。


ペンタゴンに勝利した英雄の物語
アメリカのビキニ環礁での水爆実験で被爆した第五福竜丸の話では、「乗組員が必死に日本へ帰ろうとしていた時、永田町では原発予算を組んでいた。彼らはアメリカの機密に触れ、水爆実験の生き証人となった。本来ならばアメリカ軍の手で、証拠隠滅のため撃沈されたであろうことは、これまでのペンタゴンの動きかたを知っている私には、容易に推測できる。でも彼らは焼津に戻った。それがどの解説にも書かれていない。一番大事な所が意図的に摘出され歪曲されている。
 乗組員で無線長の久保山さんは、戦時中徴用船で監視をした経験があり、米軍がどういうものか知っていた。空が光った時もすぐ「ピカだ」と察知して、自分達が重要な軍事機密に触れたことを悟った。久保山さんは、飛行機や船が見えたらすぐ焼津に無線を打って位置を知らせる、何もなければ、無線は傍受され攻撃されるから打たないと言った。米軍の船や飛行機の方向を読んで、生還するためにできることを全て危機的状況の中でやって、ペンタゴンに勝利した(沼津港に戻り水爆実験のことを伝えた)。これはかわいそうな被害者の物語ではなく、英雄の物語。でも百科事典は伝えない。忘れてもらわなくては困るから。
 みんながこの物語のレンズを通してアメリカ政府のやり方を見たらペテンにはかからない。だから葬る。それが政府による歴史の定説の作り方だから。
 彼らが持ち帰った死の灰から学者が水爆だと突き止め、人類に核廃絶のための最低限の知識が与えられた。この情報を僕らが生かしていれば、今の福島の地獄には至らなかった。



許せない3つのペテン
 核開発を推し進めるためにアメリカ政府が喧伝した『戦争を早く終わらせるために必要だった』『平和に、幸福のために利用』『地球温暖化に寄与』いずれも私達がその嘘を見抜いていれば、日本国中に57基もの原発を持つこともなかっただろうし、福島の悲劇を見ることもなかった。
 世界を核兵器で支配してきた人達は、子ども達がどうなろうが平気。日本政府も国民の命と幸福を考えていたら最初から核に手を出せなかったはず。
 食い止められるのは、私達一般市民、生活者だけ。流された情報に対し『なぜ』と問う心、真実を見抜く目(レンズ)、大事なことを忘れないことが必要だ」と締めくくりました。
 
 午後はアーサーさんの講演(続編)と同時に各学校での分散会が行われ、父母と教職員の交流がはかられました。






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